教員から見た学校と子供の話をしよう

学校に勤める中で経験した事。それについての考察を発信しています。同業者はもちろん、子供が何を考えているのか分からない保護者や、友達について理解したい子供に役に立つ情報を届けます。(元タイトル:空の深さを知る)twitter : https://twitter.com/j78wtQKi66jYUIR

最後に人を動かすのは論理ではなく感情

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どうも。空蛙です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

論理の限界

「もし議論に勝ったとせよ。相手の名誉を奪うだけのことである。

通常、人間は議論に負けても自分の所論や生き方は変えぬ生き物だし、負けたあと、持つのは負けた恨みだけである。」

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中の一文だ。

言葉で言い負かしても相手の生き方は変わらない。

そこに残るのは恨みだけ。

これは忘れないように生きていかなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言葉に感情が乗った

今日、僕は大変ストレスを感じていた。

最初の授業は3年生。生徒はとても騒がしく落ち着かない。

3年間でやかましくするのが癖になってしまっているようだ。

どんなに褒めても透かしてもいっこうに静かにはならない。

そんな50分の授業が終わり、悲しい気持ちと悔しい気持ちで心がぐちゃぐちゃになっていた。

そして次の授業は1年生。

チャイムが鳴っても生徒は騒がしい。

「落ち着こうね。」「頼むから静かにして。」

最後にはお願いする形になりました。

それでもどうしても静かにはなりません。

困り果てた僕はポツリと独り言を漏らしました。

「俺さぁ、静かな方が好きなんだよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなのアリ??

一瞬で、教室はシーンとなった。

「先生はうるさくて楽しい方が好きなんだと思ってたよー笑」

と、女の子が言うと周りの生徒が頷いていた。

それっきり静かで落ち着いた雰囲気で授業が進んでいきます。

僕は、少しの驚きとともに大きく感動した。

生徒は僕の好きな雰囲気を作ろうとしてくれていたのだ。

静かで集中していた雰囲気の中で授業は進んでいきました。

すると隣のクラスから楽しそうな声が聞こえてきます。

静かな教室に隣のクラスの笑い声が響き渡る。

僕は非常に気まずい思いになりました。

耐えきれず、生徒の一人が、沈黙を破りました。

男「いいなあ。」

この気持ちはすごい分かりますし、仕方のないことです。

しかし、すかさず他の生徒がこういうのです。

女「じゃああっちのクラス行けばいいじゃん。」

どんだけ静かな授業にしようとしてくれんだよ・・・。

こいつらいい奴らすぎる・・・。

と思っているとさらに会話は続きます。

男「うるさい方が授業に集中できるし楽しいからそっちの方がいい。」

女「それ頭を使ってるフリだから。」

いつもはふざける男子を見て笑っている女子が、今日は非常に厳しい。

そのまま静かに授業が終わり、

「今日はあっという間だったあ」

なんて喜んでいて。

僕は驚きと感動を抱えたまま教室を出ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから学んだこと

人を動かしたり、人を変えたり。

それらをするためには何が大事なのか。

難しいですが、今日一つの正解を見つけました。

それは、好感度です。

もちろん今日のことは中学生1年生の話。

もうちょっと学年が進んで思春期になったり、大人になってからはそうはいかないよ。という人の言葉はよく分かります。

でも、中学1年生だからこその、人間としての素直な反応を見たと僕は思いました。

 

好感を持ってもらうために、よく笑いよく笑わせること。

これが人を変え人を動かすコツなのではないでしょうか。

 

 

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

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おわり。